土壌汚染除去技術関連スタートアップの米Remedy Scientificがシードラウンドで16億円を調達。世界的課題となっているPFASに事業を絞り込み

土壌汚染の除去技術を開発する米国のRemedy Scientificは2025年4月9日、シードラウンドで$11m(約16億円)を調達。情報保全などを理由に創業、設立したことをあえて秘匿する、ステルス状態から脱出した。
Remedyは2023年設立。本社をカリフォルニア州サンフランシスコに置く。
土壌汚染による不動産価値損失は全米で440兆円と推計
近年、日本国内で有機フッ素化合物(PFAS)が各地で検出され、世界的にもその除去や使用の取りやめが課題となっている。そして、Remedyが除去するのも、PFASによって汚染された土壌だ。
参考記事:「永遠の化学物質」PFAS。現在の規制と代替品の開発状況
米環境保護庁(EPA)は、「ブラウンフィールド」と呼ばれる汚染された土地は全米で45万カ所以上あると推計。しかしRemedyはこれを、数十年前のデータであり過小評価している可能性があると指摘する。
また、同社の推計ではブラウンフィールドによる米国の不動産価値の損失は、$3t(約440兆円。発表のあった4月レート)にも上るという。しかも、現在の技術では完全に除去するまで数十年かかるケースもあり、費用以外にも時間や機会の損失が生じている。
こうした中で、「数週間で浄化する世界を描く」と語るのが、RemedyのRandol Aikin創業者兼CEO。さまざまな形の土壌汚染があるが、同社はとりわけ人体に蓄積するおそれがあり、米国内の水道にも漏れていると指摘されるPFASに、除去する物質を絞る。
RemediのパーパスについてAikin氏が語る動画
ステルス状態を保っていただけあって、今のところ、具体的な除去方法は明かされていない。しかし上の動画では、センシング技術やバイオテクノロジーを活用していると言及。
また、同じく動画の中で、「モバイルモジュラーシステム」と呼ばれるデバイスが、ブラウンフィールドのホットスポットに対処すると説明している。「モバイル」というだけあって、たしかに日本の4トントラックなどでも運べそうな大きさだ。
垣間見える新たな技術開発
シードラウンドでは、4社のベンチャーキャピタル(VC)・プライベートエクイティ(PE)ファンドから調達。資金を「自動化主導型技術を導入」としており、新たな形の除去技術を試みているとも考えられる。
前出のAikin氏は、次のようにコメントした。
「土地の浄化は、一時的な解決ではなく、拡張可能で永続的なものであるべきだと考えている。この分野に自動化と高精度化を導入することで、汚染された土地の処理方法にパラダイムシフトをもたらす。当社の技術は、土地を修復し、その価値を高めることだ。そして、再開発の機会を創出し、人々の健康を改善し、ステークホルダーのリスクを最小限に抑える」
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