衛星通信インフラを開発するNorthwood Spaceが、1億ドルの資金調達と5000万ドル規模のU.S. Space Forceとの契約を発表
宇宙インフラスタートアップの米Northwood Spaceは1月27日、1億ドルの資金調達を完了したと発表した。あわせて、約5000万ドル規模の米国宇宙軍(U.S. Space Force)との契約も獲得している。
同社は、衛星と地上を結ぶ地上局インフラ(Ground Segment)の刷新を狙う企業で、従来の大型パラボラアンテナに代わる電子制御型の位相アレイアンテナを中核に、衛星通信・追跡・制御を統合的に提供する。衛星運用需要の急増を背景に、防衛と商用の両市場でスケールを狙う。
衛星と地上をつなぐ通信網の再設計
衛星数の急増により、地上局インフラは宇宙産業のボトルネックになりつつある。Northwoodはこの地上側の制約を解消するプレーヤーとして浮上し、これまで脇役だった領域に大型資金が流れ込む構図を象徴する存在となった。
同社は位相アレイアンテナを核に、地上局を単体設備ではなくネットワークとして展開。自社で構築せず利用できる「Ground-as-a-Service」を志向し、スケーラブルなインフラモデルを打ち出している。
さらに、今回の資金調達とU.S. Space Forceとの契約という同時発表により、民間資本と国家安全保障の双方から評価を得たことで、商用と防衛を横断するデュアルユース基盤として実装段階に入った点が特徴だ。
位相アレイによる同時通信・高速追尾
同社の中核技術は、従来の機械式パラボラに代わる電子制御型の位相アレイアンテナである。従来型は物理的にアンテナを回転させて衛星を追尾するため、切替速度や同時運用数に限界があった。
位相アレイは多数の素子を組み合わせ、信号の位相を制御することでビーム方向を電子的に変更する。これにより機械動作なしで高速に追尾でき、衛星の切替も柔軟になる。 さらに複数ビーム形成が可能であり、複数衛星を同時に扱える点が強みとなる。
特にLEO衛星群のように短時間で視野を通過する運用では、地上局側の処理能力が重要になる。 同社はアンテナ単体ではなく、モデムや制御ソフトを含む運用スタックまで垂直統合し、地上局を「設備」ではなくネットワークとして運用する基盤へ再構築しようとしている。
Space Force契約を背景に進む生産・拠点拡大
同社Bridgit Mendler CEOは、今回の資金調達とSpace Force契約を事業拡大の転換点と位置付ける。衛星需要が急増する一方で地上局の処理能力が追いつかず、運用全体の制約になりつつあると指摘し、調達資金を量産体制と拠点展開の加速に重点投入する方針だ。
同社はアンテナからモデム、制御ソフトまでを垂直統合し、従来は年単位だった地上局整備のリードタイム短縮を狙う。CEOは顧客からの需要が想定以上に強いと述べ、迅速な展開能力そのものを競争力として確立する考えを示した。
中長期的には、地上局を単体設備ではなくネットワーク化された通信基盤として提供し、防衛と商用の両市場で標準的インフラの地位を築けるかが焦点となる。
参考文献:
※1:Northwood Space raises $100 million Series B, lands $49 million Space Force deal( リンク)
※2:Northwood Space secures a $100M Series B and a $50M Space Force contract( リンク)
※3:同社HP( リンク)
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