2025年10月、同社は総額4,000万ドルの資金調達を実施した。リード投資家は中東・北アフリカ地域の政府系テクノロジーファンドITHCA Groupであり、2,000万ドルを出資した。Phaistos Investment Fund、VT Alliance、Murata Manufacturingなども参加した。調達資金は、中東地域での市場展開、人材育成、オマーン拠点整備、そしてFWAやSatcomなど次世代通信技術の開発強化に充てられる。
AI制御の電波中継技術を開発するMovandiは4,000 万ドルの調達を発表
Movandiは、米国カリフォルニア州アーバインおよびオマーン・マスカットを拠点とする次世代通信技術企業である。5G、固定無線アクセス(FWA)、非地上型通信(Satcom)など、インテリジェント接続インフラ向けのRFチップセットやビームフォーミング技術を開発している。自社開発による高性能・低遅延の通信ソリューションを提供し、環境負荷を抑えた持続的なネットワーク構築を目指している。
電波中継技術で5G通信を強化
通信業界では、スマートフォンやAIの利用拡大により、より速く安定した通信が求められている。しかし、5Gの電波は届く範囲が短く、障害物に弱いため、多くの基地局を設置する必要がありコストが高いという課題がある。また、衛星通信や固定無線アクセス(FWA)などを組み合わせた新しい通信網づくりでは、電力の無駄や環境への影響も問題となっている。
同社は、高性能かつ省電力な通信チップとAI技術を活用し、ネットワーク構築を効率化している。特に電波を中継する「※スマートリピーター」は、5Gの届きにくい場所で通信を補完し、安定した接続を可能にする。
※スマートリピーター:基地局と端末の間で電波を中継・増幅し、通信エリアを拡大する装置。5Gの届きにくい場所でも安定した高速通信を可能にする。
AI制御の電波中継技術で通信範囲を拡大しコストを削減
同社のスマートリピーターは、基地局と利用者の間で電波を受信・再送信し、通信範囲を広げる装置である。AIによるビームフォーミング技術を用いて電波の方向を自動的に最適化し、信号の損失や遅延を抑える。これにより、建物の陰や屋内など電波が届きにくい場所でも、高速で安定した通信を可能にしている。
この技術の特徴は、新たな基地局を建設せずにネットワークを拡張できる点にある。スマートリピーターを設置するだけで通信エリアを柔軟に広げられ、導入コストを大幅に削減できる。また、Movandi独自の高効率RFチップと省電力設計により、小型・軽量でエネルギー消費を抑えた運用が可能となっている。
さらに、固定無線アクセス(FWA)や車載通信など、既存の通信インフラを補完する用途にも活用が進んでいる。電波品質を維持しながらコストを抑えられる点が評価され、さまざまな通信事業者との実証が行われている。
中東を中心に現地企業や政府との関係を強化
今後同社は、電波中継技術を中心に通信インフラの高度化と国際展開を進める方針である。調達した資金を活用し、中東地域に開発・運用拠点を設立して現地企業や政府機関との連携を強化する。これにより、地域の通信基盤整備や人材育成にも貢献し、MENA市場での事業基盤を確立する狙いがある。
さらにAIを活用したネットワーク制御や運用の効率化を進め、エネルギー効率の高い通信網の構築を推進する。これらを通じて、同社は持続可能でコスト効率の高い次世代通信インフラを世界規模で展開していく考えである。
参考文献:
※1:Movandi Secures $40M to Power Next-Generation Intelligent Connectivity for the AI Era( リンク)
※2:同社公式HP(リンク)
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