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スリープテックのEight Sleepが148億円を資金調達。スマートマットレスを開発する企業

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スリープテックスタートアップの米Eight Sleepは2025年8月19日、$100m(約148億円)の資金調達に成功したことを発表した。

同社は2014年設立。Matteo Franceschetti共同創業者兼CEOは、Y Combinatorの2015年のバッチ(プログラム)を修了している。本社は、ニューヨークに置く。

マットレスだけでなくブランケットなどにも機能搭載

Eight Sleepの技術が盛り込まれ、主力商品となっているのが「Pod」という商品名のスマートマットレスだ。もっとも、正確にいえばマットレスだけではなく、そのカバーやブランケットといった部分も開発の対象となっている。

カバーやブランケットは温度調節機能を搭載し、ユーザーにとって快適な温度で睡眠が取れるようにする。同じくカバーでは、睡眠の状態をトレース。ベース部分では、角度を付けることによる背圧の緩和、いびきの軽減をし、ベースに設けられたスピーカーからユーザーが眠りに就きやすい音を発する。このベースから上の部分を、既存のベッドに載せる形で使うものだ。さらに、コンピューターとしての役割を持つ、ハブと呼ばれる部分もある。

資金調達を知らせるプレスリリースでは、Podの売上高は$500m(約738億円)を超え、睡眠データは10億時間以上を収集できていると、Eight Sleepは説明する。発売以来、Podはバージョンアップを重ねており、2025年5月には「Pod 5」を発表した。

Pod 5(Eight Sleepプレスリリースより)

他のスリープテック企業がそうであるように、Eight Sleepもアスリートとのタイアップを行う。特に、F1ドライバーのCharles Leclerc選手は、ユーザーであるだけでなく今回の調達で投資をしている。他、同じくF1ドライバーのLewis Hamilton選手、テニスのPeyton Stearns選手の利用がEight Sleepのウェブサイトに掲載。また、MetaのMark Zuckerberg会長兼CEOも利用しているという。

2024年11月には、アラブ首長国連邦(UAE)に進出し、後述するように世界展開を進める。

医療分野に参入しFDA承認を目指す

2025年8月の資金調達は、Founders FundやY Combinatorなどのベンチャーキャピタル(VC)・投資会社とともに、前出のLeclerc選手、F1のMcLaren RacingのZak Brown CEOが参加した。

資金は、医療分野への参入と世界展開に利用する。

このうち、医療分野への参入では、Podで更年期障害や睡眠時無呼吸症候群に対応するためのAIの開発を進めると明言。米食品医薬品局(FDA)の承認取得を目指す。

また、世界展開についても、中国市場に参入すると明言した。一方、報道によるとシンガポールの市場にも、同社は関心を寄せているという。

Eight SleepのFranceschetti CEOは、これらの方針によって「世界中の何百万人もの人々に当社の技術をお届けする」とコメントした。




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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