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遺伝子工学スタートアップのColossal BiosciencesがシリーズCで316億円を調達。マンモス、タスマニアタイガーなどの復活目指す

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遺伝子工学をベースに絶滅種の復活を目指すスタートアップ、Colossal BiosciencesがシリーズC資金調達ラウンドで$200m(約316億円)を確保した。2025年1月15日、同社が発表した。

Colossalは絶滅種の遺伝子を復活させつつ、さまざまなアプローチで病気への耐性も持たせるなどといった技術を開発する、米スタートアップ。

絶滅危惧種の保全活動も

起業家のBen Lamm氏(現CEO)と、遺伝学者でハーバード大学およびマサチューセッツ工科大学(MIT)教授のGeorge Church氏によって、Colossalは2021年、創業。Lamm氏が過去、立ち上げた企業にはクリエイティブスタジオのChaotic Moonがあり、こちらはAccentureに売却している。一方、Church氏は直接ゲノム配列決定法を開発した人物である。

共同創業者兼CEOのBen Lamm氏(Colossalプレスリリースより)

Colossal が行おうとしている絶滅種の復活は、遺伝子工学とゲノム編集を基本としつつも、さまざまな分野の技術、学術を活用する。AIや機械学習も用いられれば、発生学から生殖的側面もカバー。さらに現状の動物飼育からも、復活させた種をどう保存していくかを探る。

現在、Colossal が復活を目指しているのは、ケナガマンモス、フクロオオカミ(タスマニアタイガー)、ドードーの3種だ。このうち、ケナガマンモスの復活では、現存するアジアゾウの細胞をリプログラミング(初期化)することに成功し、一定の可能性が見えた状態となっている。もっとも、細胞をリプログラミングしてiPS細胞とする際、アジアゾウは他の種より難しく時間がかかることも研究過程で分かっており、これ以外にもさまざまな課題がある。

絶滅種だけでなく、絶滅危惧種の保全を行うため2024年10月、財団・The Colossal Foundationを創設。2024年12月から翌2025年1月にかけて、オーストラリアのメルボルン大学やChurch氏も在籍するハーバード大学ワイス研究所に寄付を行った。

「絶滅回避学の構築」を図るとChurch氏

シリーズCで調達した$200mは、全額が投資ファンドのTWG Globalの資金である模様。Colossalが設立して以来の資金調達総額は、$435m(約686億円)となった。資金は、絶滅種復活の面では技術への投資となるようだ。一方、絶滅種復活以外にも技術を活用できるようなソフトウエア、ハードウエアの開発にも投資すると、Colossalは説明している。

Church氏は次のようにコメントした。

「Colossal は、SF 世界の話を科学的に事実へと変えていく遺伝子企業だ。私たちは、絶滅危惧種や絶滅の危機に瀕している種を中心に、絶滅回避学を構築し、保全生物学を拡大するための技術を開発している。

この重要なミッションに対する投資家の支援に、最大限の感謝をしている」




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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