イスラエルの建設AI開発、Buildotsが65億円を資金調達。計画とカメラによる現場の状況をAIがチェック

イスラエルの建設AIスタートアップ、Buildotsは2025年5月29日、$45m(約65億円)の資金調達の完了を発表した。
Buildotsは2018年、Aviv Leibovici最高製品責任者(CPO。本稿冒頭の写真右)、Roy Danon CEO(写真左)、Yakir Sudry CTO(写真中)により設立。3人とも、起業する前はイスラエルの政府や軍でソフトウエアエンジニアを務めていた。
チャットによるAIアシスタントもリリース
まずは、以下の動画がBuildotsを説明するのに分かりやすいと思われる。米ニューヨークでの約$200m(約291億円)規模の建設プロジェクトに、BuildotsのAIプラットフォームが導入されていることを報じる、CBSのニュース映像だ。
Buildotsが導入された建設現場について伝えるCBSのニュース(BuildotsのオフィシャルYouTubeアカウントより)
動画の中でキャスターが話しているように、建設現場は事前の計画よりコストがかかる、計画が遅延してしまうことは、起こりがちな事態である。日本国内でも、東京の国立劇場や中野サンプラザの建設が進まない事例は、これに該当するといえよう。
まして、現在はインフレの局面であり、計画が遅れるほどコストはさらに膨らんでしまう。
そこでBuildotsのAIプラットフォームでは、まず設計図やスケジュール管理表をソフトウエアにインストール。さらに、現場に入る作業員は360度撮影が可能なカメラの付いたヘルメットを被る。
AIが計画と現場の画像を照らし合わせ、遅れなどが予測される場合はアラートを発出。監督者や作業者がそれを受け、作業の優先順位の変更などを行うという流れだ。
Buildotsはプラットフォームにより、遅延の最大50パーセントの削減、コストの削減が可能だとアピールする。
2024年10月には、作業員らが質問を入力し生成AIアシスタントが回答する「Dot」をリリース。Buildotsによると、こうした生成AIアシスタントは建設業界向けで初の事例となるという。
「建設業の事後対応から事前対応型への転換促す」
2025年5月の資金調達は、ベンチャーキャピタル(VC)が主導。また、ドイツのエネルギー企業が創設したコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)である、Future Energy Venturesなどが参加した。
資金について、Buildotsは「(プラットフォームの)機能を大規模に加速させる」と説明しており、さらなる開発に用いるものと見られる。
Danon CEOは、次のようにコメントした。
「今回の投資は、世界中の建設管理のあり方を変革するものだ。私たちはすでに、プロジェクトごとの技術導入から長期的な企業契約への移行を目の当たりにしており、今年はすでに7桁($1m)規模の契約を、複数締結した。企業が事後対応型から事前対応型へと経営を転換することで、業界は数十億ドル規模のコスト削減と運用効率の向上を実現できるだろう。それが私たちの築き上げる未来だ」
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