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ドイツの防衛関連テック系スタートアップ、ARX RoboticsがシリーズAで51億円を調達。自律走行型ロボットを開発

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ドイツの防衛向けロボティクススタートアップであるARX Roboticsは2025年4月28日、シリーズA資金調達ラウンドでの€31m(約51億円)の確保を発表した。

ARXはMarc Wietfeld CEO、Stefan Roebel COO、Maximilian Wied財務責任者の3人の共同創業者によって2022年、設立。Wietfeld氏はドイツ連邦軍の元大尉で、同社によると他の2人も軍歴があるという。本社は、バイエルン州ミュンヘンに置く。

ウクライナへもロボットを出荷

近年の防衛関連スタートアップは、ハードウエアとソフトウエアの両方を開発するケースが見られる。ARXもそれは同じで、ロボットと「Mithra OS」と名付けられたソフトウエアがプロダクトだ。

このうちロボットは「GEREON RCS」という名称で、自律的な走行、多用途性を訴求。ペイロードには500キログラムを搭載可能で、搭載物を使った訓練や医療搬送ができるという。また、偵察、監視もできるとしており、ARXからの明言はないが防衛用途という特徴を鑑みると、一般的なカメラだけでなく赤外線カメラなどの搭載も推測できる。

一方、Mithra OSは自社のロボットだけでなく、既存車両や無人機の統合運用も行うOS。例えば、旧型車両にOSを接続し、その車両に後付けデバイスを装着することで、AIによる状況認識やナビゲーション、さらには自動運転も可能だ。また、ARXのロボットに旧型車両を支援させる、ロボットによる地雷除去などもできるとしている。

Mithra OSのイメージ動画

ARXは今のところ防衛に特化したテック企業であるものの、将来的には民生利用も視野に入れる。ウェブサイトで前述のGEREON RCSを紹介するページでは、「私たちの目標は、軍事現場だけでなく日常においても、人々と資源を守る拡張性の高いインテリジェントシステムによって安全性と運用即応性を向上させることです」と記述する。

資金調達の他の動きとしては2025年2月、ウクライナ軍向けに30台のロボットを出荷したと発表。また、ウクライナ国内にARXのメンテナンスハブも開設した。

NATO系ファンドが追加投資

シリーズAは、ドイツのベンチャーキャピタル(VC)が主導。また、既存投資家であるNATO Innovation Fundも参加した。

調達した資金は、「モジュール式のAI搭載地上ロボットにおけるリーダーシップを強化する予定」としている。

CEOのWietfeld氏は、次のようにコメントした。

「ARX Roboticsの中核にあるのは、次世代の防衛インフラを構築するという明確な使命だ。この使命を支持する投資家からの新たな資金は、現状の展開から産業規模への移行を可能にする重要なマイルストーンであり、推進剤ともなる」




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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