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軍事計画プラットフォームを開発するOnebriefが2億ドル調達、軍事シミュレーション企業のBattle Roadの買収も発表

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Onebriefは、米軍や国防機関向けに作戦計画をクラウド上で作成・共有できるソフトウェアを提供する企業である。軍の司令部では今もPowerPointやExcel中心で計画が作られ、情報の分断や同期遅れが課題となっている。同社は計画業務をリアルタイムに統合し、意思決定の高速化を狙う。

2026年1月には2億ドルのSeries Dを調達し、評価額は21.5億ドル超に到達。同時にウォーゲーム企業Battle Road Digitalを買収した。

軍の指揮系統インフラを担う構想

本リリースの焦点は、2億ドルのSeries D調達そのものではない。企業評価額21.5億ドル超という規模を伴って発表されたのは、Onebriefが防衛領域で継続的に拡張する「基盤企業」であることを強調するためだ。

象徴的なのがBattle Road Digitalの買収である。Battle Roadはウォーゲームやシミュレーション技術を持つ企業であり、Onebriefはこれを取り込むことで、計画作成に留まらず、意思決定を支える統合環境へ踏み込む姿勢を示した。

つまり今回の発表は資金調達報告ではなく、「軍の計画業務を担うツール」から「軍事指揮の中核基盤」へ進化するという立ち位置を市場に明確化する狙いがある。

共同編集ツールではない軍事特化型設計

同社は、軍の作戦計画をクラウド上で一元管理する指揮支援プラットフォームを提供する。Google Workspaceが汎用の文書共同編集ツールであるのに対し、同社は軍特有の指揮系統や承認プロセスを前提に、計画をデータとして管理し、リアルタイムで同期する仕組みを構築している。

特徴は、計画を「資料」ではなく「更新され続ける運用データ」として扱う点にある。これにより司令部内の共有や改訂を迅速化し、情報の分断を抑える。

さらにAIによる計画作成支援を組み込み、意思決定の高速化を図る。買収したBattle Roadのウォーゲーム/シミュレーション技術が統合されることで、計画を仮想環境で検証し、判断に直結させる基盤へと拡張している。

“superhuman military command”実現に向けた拡張フェーズへ

同社は今回のSeries DとBattle Road買収を、“superhuman military command”の実現に向けた重要な節目と位置づける。これはAIやシミュレーションを活用し、指揮官の意思決定を加速・高度化する構想を指す。

CEO Grant Demareeは、Battle Roadの技術と人材が加わることで、同社が掲げる「現代指揮のOS」構想をさらに前進させると述べた。計画だけでなく、実運用に近い形での検証や判断支援まで含めた統合基盤化が狙いとなる。

投資家側も、計画・ウォーゲーム・リアルタイム意思決定支援を統合するプラットフォームとしての成長を期待しており、同社はその構想を前提に事業拡大を進める方針だ。


参考文献:

※1:Anthropic raises $30 billion in Series G funding at $380 billion post-money valuationリンク

※2:OpenAIへの追加出資に関するお知らせリンク



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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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