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農業ロボティクスのCarbon RoboticsがシリーズBで約29.7億円の資金調達を実施

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米国シアトルを拠点としている農業ロボティクススタートアップのCarbon Roboticsは、シリーズBで27m$(約29.7億円)の資金調達を実施したことを発表した。

今回のラウンドには、Anthos Capital、Ignition Partners、Fuse Venture Capital、Voyager Capital、Bolt、Liquid2 Venturesなどのベンチャーキャピタルが参画している。

今回の調達によって、これまで同社が調達した資金の合計は36m$(約39.6億円)となる。

草刈り機による除草作業の最適化

Carbon Roboticsが狙うのは、自律走行草刈り機による、除草作業の最適化だ。

現在、世界的に除草剤市場は堅調に成長すると様々な市場調査会社が推計している。背景には、食品の需要の増加と人口の増加、そして食糧安全保障を確保するために高い作物生産高を重視する動きが挙げられる。

一方で、除草剤を使わない除草の方法は、現在多くは耕うんによる機械的な雑草防除であるが、燃料を消費し、土壌や根に攻撃的で、侵食を増加させてしまう。スポットフレーミングや電気抵抗加熱などの熱効果に基づく雑草防除アプローチも存在するが、エネルギーコストが高いことが課題となる。

Carbon Roboticsは人工知能とレーザー技術を活用することで、レーザーによって除草を行う、「Laser Weeding」と呼ばれる手法でこの除草作業を最適化しようとしている。

https://www.youtube.com/watch?v=AP0yiOI8Qas
同社公開の動画への直リンク
レーザーで除草作業を行っている様子がわかる

ロボットに搭載された高解像度カメラは、作物や雑草を識別するためにコンピュータービジョンモデルを実行するオンボードのコンピューターにリアルタイムで画像を送り、処理を行う。そして高出力レーザーによる、「点」で雑草に照射することで、貴重な作物に害を与えることなく、除草を行うことができる。

結果として、農家は除草剤の使用量を減らし、除草に関わる自身の作業も減らすことができる。

このロボットの需要は旺盛で、すでに2021年モデルは完売し、2022・2023年モデルの注文を受け付け始めている。これまでに確保した注文は20m$(約22億円)になる。

同社は今回調達した資金を活用し、ロボット生産の拡大とともに、米国全土の顧客に対する地域の販売とサポートを確立し、新製品と技術開発に投資するという。

 

同社HPはこちら


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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