小売店舗向けコンピュータービジョンのTrigoがドイツの大手小売から出資を受ける
レジ無し店舗を実現する小売店舗向けコンピュータービジョンシステムを開発するTrigoが、ドイツの大手小売企業であるREWE Group、そしてイスラエルのVCであるViola Growthから出資を受けたことを、6月16日に発表した。
今回の出資を受けてTrigoは累積資金調達額が100m$(約110億円)を超えることになる。
既存店舗向けに後付けで導入可能なシステム
Trigoは2018年に創業したばかりのイスラエルのスタートアップ企業だ。
世界クラスのAIとアルゴリズムの専門家を抱え、店舗に訪問する顧客のショッピングアイテムを正確に識別し、完全にシームレスなチェックアウトプロセス(代金支払いプロセス)を実現するための、コンピュータービジョンシステムを開発している。
最近、日本においてもセルフレジや、バーコードリーダーによる事前の商品登録によるスムーズな決済を実現するレジが、都市部では見られるようになってきている。そして、世界の最先端ではレジ無し店舗としてAmazonGoの店舗はすでに30店舗弱がオープンしている。日本でも実証実験的にレジ無し店舗が始まっている。
AmazonGoがテクノロジー中心に店舗を作っており、同じようなレジ無し店舗を実現するのにやや建設・設備コストがかかるのに対して、Trigoが実現しようとしているのは、既存店舗向けに後付けで導入可能なシステムだ。
上記の動画を見ていただくとわかるが、店舗に訪れた顧客はまず入口でQRコードを認識させる。店舗内のカメラセンサーは顧客に対して匿名化されたIDを付与し、行動を追跡する。ユーザーが商品を手に取ると、で商品を自動で特定し、バーチャルな買い物かご(リスト)に登録する。そして店舗を出ると、自動で決済が完了している、という流れだ。いわば店舗のDXであり、買い物客は購入体験が大きく変わることになる。もはやレジに並ぶ必要はなくなるし、商品のバーコードを読み取る必要すらない。顔認識を行うわけではないため、プライバシーにも配慮されている。
同社は、スーパーマーケット(または店舗)のどこにいても、何千ものアイテムやユーザーの動きを検出するように設計された独自のニューラルネットワークを学習させてシステムに実装。コンピュータービジョンだけで人の動きと商品を識別する。
REWEグループの店舗で実証が開始する
今回出資を行ったREWEはドイツで2番目に大きい食料品小売企業であり、約3,700店舗を保有している。
今回の出資の動きと合わせて、Trigoはケルンのダウンタウンにある新しい店舗でREWEの顧客に「Grab and Go」のショッピング体験を提供する。これは、実環境下においてレジ決済不要の店舗体験を実現するドイツで初めての食料品小売の事例となるという。
REWE Groupの取締役会メンバーであるChristoph Eltze氏は「REWE Groupは、スマートストア向けのコンピュータービジョンテクノロジーのリーディングカンパニーの1つであると信じているTrigoとのパートナーシップに投資しています。」と語っている。
今回参考のプレスリリースはこちら
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