ドイツの自動運転AI開発企業・MOTOR Aiが30億円を調達。2017年設立ながら今回がシードラウンド

ドイツで自動運転向けAI開発を行うMOTOR Aiは2025年7月14日、シード資金調達ラウンドでの$20m(約30億円)の確保を発表した。
同社は2017年、AI関連企業で役員を務めた経験を持つRoy Uhlmann CEOとソフトウエアエンジニア出身のAdam Bahlke CTOにより設立。ベルリンに本社を置く。
Roy Uhlmann CEO(右)とAdam Bahlke CTO、そしてMOTOR Aiの車両(同社プレスリリースより)
「説明可能な」自動運転技術に取り組む
かつての自動運転技術は、LiDARを使って周囲の車両や固定物を検知し走行する仕組みでの開発が主流だった。しかし、その時代の想定と異なり、LiDARの価格があまり下がっていないという現実がある。
そこで、LiDARを使いつつもカメラで撮影した映像にも重点を置き、それを進化が著しいAIで分析するという手法が、台頭するようになった。日本の自動運転スタートアップであるTuringも、この方法で開発を進めている。
そして、MOTOR AiもAIドリブンの自動運転技術を開発する企業の一つだ。
前述の通り2017年に設立し、2020年には欧州連合(EU)のスタートアップ向け助成金であるHorizonを受給。2025年3月には、自動運転の試験について行政から許可を得たと、同社は説明している。
参考記事:研究・イノベーションプログラム「Horizon Europe」どのように欧州と技術の発展に寄与するのか?
技術的には、LiDAR、レーダー、カメラ、慣性計測装置(IMU)、GPSから構成される多重冗長センサーによる感知システムを構築。このデータの組み合わせによって、道路の画像と3D鳥瞰図を作成する。その上で、AIが意思決定を行うというプロセスだ。
また、情報公開に重点を置くという特徴もある。今回の資金調達を周知するプレスリリースでも、「他のプロバイダーが総当たり型のデータ収集とブラックボックス予測モデルを通じて自律性を追求する中、MOTOR Aiは異なるアプローチを採用」「それは、世界最高水準の安全性において、深く説明可能で認証可能なアプローチです」と、アピールしている。
MOTOR Aiは個別の車両の自動運転技術を開発する一方で、公共交通機関での技術の活用も進めている。この場合の公共交通機関とは、ライドプーリング、オンデマンドサービスといった乗り合い、柔軟な経路、コスト削減が可能な車両での移動であり、過疎地の交通手段の維持を目指す。
資金調達後、米国企業との差別化のポイントをCEOが説明
シードラウンドは、2社のベンチャーキャピタル(VC)が主導した。資金について、MOTOR Aiは「公道での型式承認取得とその後の自動運転車の導入に向けた最終段階」に利用すると説明している。
Uhlmann CEOは資金調達後、「当社のソリューションは、当局が求める自動運転の意思決定の透明性とトレーサビリティに関する主要要件を満たしている。これは米国のプロバイダーとの明確な差別化であり、同時に欧州の規制要件にも最適に準拠している」と、MOTOR Aiの強みである透明性をアピールするコメントを残した。
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