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食品や日用品を自動配送するドローンを開発するZiplineが15億ドル調達

米国のZiplineは、食品や日用品、医療物資を自動配送するドローンと運航システムを開発・運営している。同社は2026年11月5日、15億ドルの資金調達を発表した。調達後の企業評価額は215億ドルである。

今回のラウンドはParadigm、WCM Investment Management、Layer Globalが主導し、UberやFidelityなどが参加した。調達資金は米国内の製造設備の拡張と採用強化に充て、全米規模のドローン配送網の構築を進める。

Walmartの店舗網を起点とする配送拠点の拡大

Walmartは同日、同社との複数年契約に基づき、米国内にドローン配送拠点を300カ所追加すると発表した。米国人口の90%が同社店舗から10マイル以内に住むという店舗網を活用し、食品や日用品を住宅へ届ける。追加拠点は今後の展開計画であり、300カ所すべてが既に稼働しているわけではない。

機体の増産に加え、注文を受け付ける小売店舗と配送拠点を結び付ける点が事業拡大の核となる。利用者は対象地域でWalmartのアプリやウェブサイトから商品を選び、自宅への配送を依頼できる。商品調達と受注の仕組みを既存の小売網に組み込むことで、ドローン配送を日常的に利用できるサービスとして広げる構成である。

日本との接点もある。豊田通商は2018年に出資し、2021年に日本市場での戦略業務提携を締結した。当社メディアでも以前取り上げた関係であり、2022年には子会社そらいいなが長崎県五島列島で同社の固定翼機を使う医薬品配送事業の開始を発表している。この離島向け事業と、米国の住宅向け配送システムは区別する必要がある。

上空の機体と地上へ降りる配送ユニットの役割分担

住宅向けのPlatform 2は、目的地まで飛ぶ機体と、荷物を地上へ届ける小型ユニットを組み合わせたシステムである。機体は移動中の巡航と、配送地点での空中静止を切り替える。到着後は上空にとどまり、荷物を収めたユニットをケーブルで降ろすため、機体全体が庭先へ着陸する必要がない。

配送ユニットは下方の状況を認識し、指定された場所へ荷物を届ける。移動を担う機体を高い位置に保つことは、地上への騒音や接近による影響を抑える狙いもある。公式仕様では積載量は最大8ポンド、約3.6キログラム、配送半径は10マイル、約16キロメートルである。大型貨物輸送ではなく、食事や日用品など小口の即時配送を想定した設計となっている。

自律飛行では、位置や速度、天候、周囲の航空機、配送先の環境を把握するセンサーと計算装置を用いる。公式の技術解説によると、主要なセンサーや計算系統にはバックアップを設け、通信も二系統とする。単に機器を二重化するだけでなく、得られる情報の不一致を処理するソフトウェアを組み合わせ、故障時にも安全な判断を続けられるよう設計している。


量産能力と地域への定着を支える全国展開

同社CEO兼共同創業者のKeller Cliffton氏は、Walmartとの発表で、利用者が短時間の配送を日常的に使うようになったと説明し、両社で米国各地の住宅へ技術を広げる意向を示した。小売店舗と住宅を結ぶ運航を、限られた地域から広域へ展開する段階に入っている。

今回の資金は、その拡大に必要な製造能力と人材を支える。今後の焦点は、拠点数の増加を実際の配送件数につなげながら、地域ごとの運航条件や騒音への配慮を両立できるかである。全国展開の計画と、個別地域でサービスが利用可能になる時期は分けて見る必要がある。


参考文献:

※1:Ziplineによる15億ドルの資金調達発表(2026年11月5日)(リンク)

※2:Walmartによるドローン配送拠点300カ所追加の発表(2026年11月5日)(リンク)

※3:Ziplineの公式ファクトシート(Platform 2の配送方式・仕様)(リンク)

※4:Ziplineの公式技術ページ(配送ユニットの認識・受け渡し方式)(リンク)

※5:Ziplineによる安全設計の技術解説「Engineering for safe drone delivery」(リンク)

※6:豊田通商による五島列島での医薬品配送事業開始の発表(2022年4月21日)(リンク)


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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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