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皮膚サンプルを採取する神経疾患検査ツール開発の米CND Life Sciences、シリーズAの調達総額が19億円に。シヌクレイノパチーの早期発見を実現

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神経疾患の早期発見を可能にする検査ツール開発の米CND Life Sciencesは2025年5月1日、シリーズA資金調達ラウンド内の調達総額が$13.5m(約19億円)となったことを発表した。

CNDは2017年、Cutaneous NeuroDiagnosticsとして、3人の医師により設立。本社をアリゾナ州に置く。

αシヌクレインを可視化する検査ツール開発

パーキンソン病などの神経疾患やレビー小体型認知症の要因とされる、αシヌクレインというタンパク質が存在する。通常は、脳のシナプス機能の維持をする物質と考えられているが、異常を起こすと凝集し、毒性を持つことがある。

その結果、神経機能に悪影響を及ぼし病気へと至ってしまい、その総称を「シヌクレイノパチー」と呼ぶ。前述のパーキンソン病やレビー小体型認知症の他、多系統萎縮症、純粋自律神経不全症、レム睡眠行動障害がシヌクレイノパチーに含まれる。

CNDは、αシヌクレインを可視化するため「Syn-Oneテスト」と呼ばれる検査法を開発。臨床医が行う検査で、皮膚生検サンプルを採取しそこから蛍光分析法でαシヌクレインを検出するものだ。2019年に上市した。

資金調達に関する発表から1カ月後の6月5日には、米国立衛生研究所(NIH)から資金提供を受け2年にわたり行った、突発的レム睡眠行動障害とリン酸化αシヌクレインとの関連について研究を行っていたと発信。研究結果は、同月8〜11日にワシントン州シアトルで開かれる、米睡眠医学会と米睡眠研究学会の合弁企業によるイベントで発表するという。

アリゾナ州にあるCNDの研究所内部(同社プレスリリースより)

Labcorpなどが投資

5月の発表では、直近の資金調達として「シリーズA3」と位置付けたラウンドを行ったことを説明。シリーズA全体の$13.5mの過半に上る$8.6m(約12億円)を、A3 で確保したという。

投資家には、投資会社やベンチャーキャピタル(VC)の他、既存投資家としてアリゾナ州の医療機関ネットワーク企業であるHonorHealthが、新規投資家として米ライフサイエンス大手のLabcorpが参加した。

関連記事:海外のCVCはどのようなディープテックに投資しているのか|ライフサイエンス・製薬分野のCVC編

資金の使途は、LabcorpのMegann Vaughn Watters新規事業・戦略提携担当副社長が「CNDのSyn-One Testへのアクセス拡大というミッションを支援できることを大変嬉しく思う」とコメントしており、さらなる拡販が図られる見込みだ。

CNDのRichard J. Morello CEOは、次のように述べた。

「CNDは、実績のある技術を用いて、パーキンソン病などの疾患をこれまで以上に早期かつ正確に診断できるよう臨床医を支援している。また、バイオ医薬品企業と連携し、新規治療法の臨床試験の成功率向上にも取り組んでいる。

多くの献身的な投資家の皆様から、私たちの使命に多大なご支援をいただき、感謝申し上げる」




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  • 記事・コンテンツ監修
    小林 大三

    アドバンスドテクノロジーX株式会社 代表取締役

    野村総合研究所で大手製造業向けの戦略コンサルティングに携わった後、技術マッチングベンチャーのLinkersでの事業開発やマネジメントに従事。オープンイノベーション研究所を立ち上げ、製造業の先端技術・ディープテクノロジーにおける技術調査や技術評価・ベンチャー探索、新規事業の戦略策定支援を専門とする。数多くの欧・米・イスラエル・中国のベンチャー技術調査経験があり、シリコンバレー駐在拠点の支援や企画や新規事業部門の支援多数。企業内でのオープンイノベーション講演会は数十回にも渡り実施。

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