言葉で建物の3Dモデルを作成するACIMUSが約6,500万円調達 JR東日本系と資本業務提携
ACIMUSは2026年10月14日、シードラウンドで総額約6,500万円を調達したと発表した。Link Capitalをリード投資家に、Incubate Fund、JR東日本スタートアップを引受先とする第三者割当増資である。あわせて、JR東日本スタートアップとの資本業務提携に合意した。
同社は、言葉の指示で建物の3Dモデルを作成・編集する建設向けサービスを開発する。形状に加え、部材ごとの情報を持つBIMをブラウザー上で作成できる。調達資金は製品開発と導入拡大に充て、JR東日本との駅舎モデル作成の実証も進める。
駅舎の維持管理を支える、既存図面からのBIM作成
BIMの活用を広げるうえで課題となるのが、既存建物のモデルを作る手間である。JR東日本は約1,680の駅舎をはじめ、関連施設を含め約2万4,000棟の建物を保有する。従来の方法では、小規模な駅舎でも1棟のモデル作成に約95〜100時間を要していた。建物の数が多いほど、モデルを用意する工程が維持管理のデジタル化を進める負担となる。
両社の実証では、既存の財産図を基に、言葉の指示を使って維持管理用の簡易BIMを作成した。JR東日本側は、作成時間を大幅に短縮できる可能性を確認したとしている。ただし、短縮後の時間や削減率は公表されていない。今後は対象駅舎を広げ、異なる建物でも活用できるかを検証する段階である。
当社メディアでも以前、BIMと現場画像を照合して施工状況を確認するSiteAwareを取り上げた。こうした活用には、比較や管理の基準となるモデルが欠かせない。今回の提携は、建物を多数保有する事業者とともに、その作成工程を効率化する取り組みである。
言葉による指示を編集可能な建物データへ変換
同社の技術は、対話を通じて建物を構成する部材を組み立て、編集可能なBIMモデルを作成するものである。利用者が建物の用途や階数などを入力すると、柱・壁・床・天井などの要素を持つモデルを作成・編集できる。各部材には属性情報が付くため、外観の検討に加え、建物の構成や部材の情報を扱うためのデータとして利用できる。
作成したモデルは、BIMデータを交換するための標準形式であるIFCで出力できる。これにより、ブラウザー上で作成した案を既存のBIMソフトへ引き継ぐことが可能になる。主な対象は初期の企画、建物の規模や形状の検討、基本設計であり、専門家が詳細を検討する前段階のモデル作成を支援する位置付けである。
さらに、先行検証中の生成基盤「KIWARI」では、文章や画像、建物の大まかな形状からBIM案を作る取り組みを進めている。用途、敷地条件、必要な部屋や面積などを基に、階構成や平面、柱などの配置の基準となる構造グリッドを検討する。出力は建築・構造・設備の専門家による確認を前提とし、設計や安全性の判断まで自動で完結するものではない。
実証から実務での継続利用への移行
菊池光貴CEOは、建物の企画・設計から維持管理まで、BIMの作成と活用が専門ソフトを扱える人に限られている状況を変え、建物に関わる幅広い人が検討や管理に使える状態を目指すと説明している。今回の調達では、製品開発とともに、実証から本格導入への移行や導入事例の蓄積を進める方針である。
JR東日本との取り組みでは、モデルを作る速度に加え、維持管理に必要な情報を適切に表現できるかが実務上の評価点となる。対象駅舎を広げた検証と、作成後の確認・修正を含む運用の確立が、継続利用に向けた次の焦点である。
参考文献:
※1:ACIMUSによる約6,500万円のシード資金調達および資本業務提携の発表(2026年10月14日)(リンク)
※2:JR東日本スタートアップによるACIMUSとの資本業務提携および駅舎BIM作成の実証に関する発表(2026年10月14日)(リンク)
※3:ACIMUSによる対話型BIMサービス正式版の発表・紹介動画(2025年6月12日)(リンク)
※4:ACIMUSによるBIM生成基盤「KIWARI」の先行検証に関する発表(2026年6月17日)(リンク)
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